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Claude Code × 経営企画|市場調査要約・取締役会資料・シナリオプランニング・競合監視スクリプトの実践

経営企画部門がClaude Code(CLIツール)を使い、市場調査レポートの要約、取締役会資料の構成自動化、シナリオプランニング、競合モニタリングスクリプト作成、M&A初期スクリーニングを実現する方法を、コピペ可能なプロンプト付きで解説します。

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Claude Code × 経営企画|市場調査要約・取締役会資料・シナリオプランニング・競合監視スクリプトの実践

「20本のリサーチレポートを読んで経営会議用のサマリーを作るのに丸2日かかる」「取締役会資料のフォーマット調整に毎月半日」「競合の動きを追いたいが人手が足りない」。経営企画部門のこうした課題は、Claude Code(ターミナルベースのCLIツール)で解決できます。

本記事では、非エンジニアの経営企画担当者がClaude Codeを使い、ファイル操作とスクリプト生成で5つの業務を自動化した方法を、そのまま使えるプロンプト付きで紹介します。

経営企画がClaude Codeを選ぶ理由 — チャットとの根本的な違い

Claude Codeは、ローカルのファイルを直接読み書きし、複数ファイルを横断して処理できるCLIツールです。経営企画の業務では、以下のような使い方が可能になります。

  • フォルダ内の業界レポートPDF20本を一括で読み込み、論点別に整理したサマリーを生成する
  • 前回の取締役会資料を読み込み、今回の議題に合わせて構成を自動調整する
  • 競合企業のIR資料を定期的に処理し、変化点を自動検出するスクリプトを作成する
  • M&A候補企業のデータを一括分析し、スクリーニングレポートを出力する

チャットUIでは「1つのファイルをコピペして要約してもらう」のが限界ですが、Claude Codeなら20本のレポートを一度に読み込み、横断的に整理した成果物をファイルとして出力できます。情報量の多い経営企画業務において、この違いは決定的です。

シナリオ1 — 市場調査レポートの要約と統合(2日 → 1時間)

Before: 調査会社やシンクタンクのレポート20本を1本ずつ読み、要点をExcelに転記。論点別の整理と経営会議向けサマリーの作成に2日。

After: レポートファイルをフォルダに入れ、Claude Codeに渡すだけ。論点別サマリーが1時間で完成。

実際のプロンプト

./market_research_2026Q1/ フォルダ内のすべてのファイルを読み込んでください。
(PDF、テキスト、マークダウンが混在しています)

これらのレポートを横断的に分析し、以下の構成でサマリーを作成してください。

サマリー構成:
1. 市場概況(市場規模、成長率、主要な変化を500字以内)
2. 論点別の整理
   - 技術トレンド(各レポートで言及されている技術動向を統合)
   - 規制・政策動向(法改正、政府方針の影響)
   - 競合動向(主要プレイヤーの戦略変化)
   - 顧客ニーズの変化(需要側のトレンド)
3. レポート間の見解の相違(同じテーマで異なる見解を示しているものを抽出)
4. 自社への示唆(機会と脅威を各3つ)
5. 出典一覧(レポート名、発行元、発行日を一覧表示)

出力:
- market_summary_2026Q1.md(経営会議向けサマリー。A4で3枚以内に収まる分量)
- research_matrix.csv(レポート×論点のマトリクス。
  各セルに該当レポートの要点を記載)
- key_data_points.csv(各レポートから抽出した重要数値の一覧。
  カラム: データ項目, 数値, 出典, 対象期間)

条件:
- 経営会議で5分で説明する前提の分量
- 数値は出典を明記
- 推測と事実を明確に区別して記載

よくある失敗パターン

  • レポートの形式がバラバラ: PDFの読み取り精度はファイルによって異なる。スキャンPDFは読み取れない場合がある。テキスト抽出可能なPDFを使用するか、事前にテキスト化しておく
  • 論点を指定しない: 「レポートを要約して」だけでは、各レポートの個別要約になる。「論点別に横断整理して」と指示することで、統合的なサマリーが得られる

シナリオ2 — 取締役会資料の構成自動化

Before: 前回の取締役会資料をコピーし、数値を更新し、構成を調整。フォーマット統一に毎回半日。

After: 議題と数値データを渡し、構成案とスライドごとの要点ドラフトを30分で生成。

実際のプロンプト

以下のファイルを読み込んでください。
- ./board_materials/2026Q1/(前回の取締役会資料フォルダ。
  各スライドの内容をマークダウンで記録したファイルが含まれる)
- board_agenda_202606.txt(今回の議題一覧と各議題の結論仮説)
- financial_data_202605.csv(最新の財務データ)
- kpi_dashboard_202605.csv(KPI実績データ)

今回の取締役会資料の構成案とドラフトを作成してください。

処理手順:
1. 前回資料の構成を分析し、今回の議題に合わせて再構成
2. 定例報告部分(業績報告、KPI報告)は前回のフォーマットを踏襲し、
   数値を最新データに更新
3. 新規議題については、以下の構成で新規ページを作成
   - 議題の背景(なぜ今この議題を取り上げるか)
   - 現状分析(データに基づく現状認識)
   - 選択肢の提示(3案程度)
   - 推奨案とその根拠
   - リスクと対策
   - 決議事項

出力:
- ./board_materials/202606/(今回の資料フォルダ)
- 各スライドを slide_01.md 〜 slide_XX.md として保存
- table_of_contents.md(目次。各スライドの見出しとページ番号)
- speaking_notes.md
  (各スライドの説明メモ。発表者が参照する補足情報)

条件:
- 各スライドは「見出し + 要点3〜5項目 + 補足データ」の構成
- 数値はfinancial_data と kpi_dashboard から自動挿入
- 「社外秘」「取締役会限り」の透かし文言を各ページ冒頭に記載

Claude Codeによるシナリオプランニングと戦略立案支援の仕組み

シナリオ3 — シナリオプランニングの自動化

Before: 楽観・基本・悲観の3シナリオを手作業で作成。前提条件の組み合わせ検討に1週間。

After: 変数と前提条件を定義したCSVを渡し、複数シナリオの骨格と影響分析を2時間で生成。

実際のプロンプト

以下のファイルを読み込んでください。
- scenario_variables.csv
  (シナリオの変数定義。カラム: 変数名, 楽観値, 基本値, 悲観値, 影響度, 備考)
- current_business_plan.md(現在の事業計画の概要)
- market_assumptions.md(市場環境の前提条件)

3つのシナリオ(楽観・基本・悲観)を作成してください。

各シナリオの構成:
1. シナリオ名とサブタイトル(内容を端的に表現)
2. 前提条件の一覧(各変数の設定値を表形式)
3. 事業環境の描写(このシナリオが実現する世界観を300字で記述)
4. 自社への影響分析
   - 売上への影響(方向性と概算の増減幅)
   - コストへの影響
   - 競争環境の変化
5. 戦略オプション(各シナリオで取るべきアクション3つ)
6. 早期警戒指標(このシナリオに向かっている兆候を3つ)
7. シナリオ間のスイッチングポイント
  (楽観→基本、基本→悲観に移行する条件)

出力:
- scenario_optimistic.md
- scenario_base.md
- scenario_pessimistic.md
- scenario_comparison.md(3シナリオの比較表)
- early_warning_indicators.csv
  (早期警戒指標の一覧。カラム: 指標名, 現在値, 閾値, モニタリング頻度, データソース)
- strategy_options_matrix.csv
  (シナリオ×戦略オプションのマトリクス)

条件:
- 数値予測はあくまで方向性と概算に留め、
  「正確な予測ではない」旨を明記する
- 各シナリオの蓋然性について言及しない
  (蓋然性の判断は経営層が行う)

ポイント

シナリオプランニングでClaude Codeが特に力を発揮するのは、変数の組み合わせから複数のシナリオの骨格を一度に生成できる点です。人間がゼロから3つのシナリオを書き分けるのは時間がかかりますが、Claude Codeなら変数定義を変えるだけで異なるパターンのシナリオを量産できます。重要なのは、生成されたシナリオを「たたき台」として経営層と議論し、精緻化していくプロセスです。

シナリオ4 — 競合モニタリングスクリプトの作成

Before: 競合5社のWebサイトとIRページを月1回手動でチェック。変更点の見落としが頻発。1回あたり3時間。

After: 競合情報を自動収集・比較するスクリプトを生成。月次の変化点レポートが10分で完成。

実際のプロンプト

競合企業5社の公開情報を定期的にモニタリングするためのPythonスクリプトを作成してください。

対象企業と取得元:
- A社: https://example-a.com/ir/ (IR情報)
- B社: https://example-b.com/news/ (ニュースリリース)
- C社: https://example-c.com/products/ (製品ページ)
- D社: https://example-d.com/about/ (会社概要)
- E社: https://example-e.com/careers/ (採用ページ)

処理内容:
1. 各URLのテキスト内容を取得(robots.txt を必ず確認すること)
2. 前回取得したデータ(./competitor_data/previous/ に保存)と比較
3. テキストの差分を検出し、変更箇所をハイライト
4. 変更の重要度を「高・中・低」で自動分類
   - 高: 業績修正、M&A、新製品発表、経営陣変更
   - 中: 採用強化、価格変更、パートナーシップ
   - 低: UI変更、文言修正
5. 今回のデータを ./competitor_data/YYYYMMDD/ に保存(次回比較用)

出力:
- competitor_changes_YYYYMMDD.md(変更点レポート)
- competitor_changes_YYYYMMDD.csv
  (変更一覧。カラム: 企業名, URL, 変更箇所, 変更内容, 重要度, 検出日)
- competitor_timeline.md
  (過去の変更履歴を時系列で表示。追記型)

依存ライブラリ: requests, beautifulsoup4, difflib

よくある失敗パターン

  • 動的サイトに対応できない: SPAやJavaScriptレンダリングのサイトは、requestsでは取得できない。「Seleniumを使って」と指示するか、取得可能なページのみを対象にする
  • 差分が多すぎて使えない: サイト全体の差分を取ると、ヘッダーやフッターの微細な変更まで検出される。「本文コンテンツ部分のみを対象にして」と指示する

Claude CodeによるM&Aスクリーニングと機密情報の取扱い方針

シナリオ5 — M&A初期スクリーニング

Before: M&A候補企業のリストを受け取り、1社ずつ公開情報を調査。概要整理に1社あたり2時間。10社で2.5日。

After: 候補企業リストと評価基準を渡し、一括でスクリーニングレポートを生成。10社分が3時間で完成。

実際のプロンプト

以下のファイルを読み込んでください。
- ma_candidates.csv
  (候補企業リスト。カラム: 企業名, 業界, 本社所在地, 設立年, 上場区分)
- screening_criteria.md(スクリーニング基準。事業シナジー、
  財務健全性、技術力、組織文化の4軸で評価)
- our_company_profile.md(自社の事業概要と中期計画のサマリー)
- ./candidate_data/(各候補企業の公開資料フォルダ。
  IR資料、プレスリリースのテキストファイルが企業名フォルダに格納)

10社分の初期スクリーニングレポートを一括生成してください。

各社のレポート構成:
1. 企業概要(事業内容、収益構造、従業員数、主要顧客)
2. 財務概況(直近3期の売上・利益推移。公開データのみ)
3. 自社との事業シナジー評価(screening_criteria に基づき5段階評価)
4. 想定されるリスク要因(3〜5項目)
5. 総合評価(A:詳細検討推奨 / B:追加情報が必要 / C:優先度低)
6. 推奨する次のアクション

出力:
- 企業ごとに ./ma_screening/[企業名].md として保存
- ma_screening_summary.csv
  (全社の評価サマリー。カラム: 企業名, シナジー評価, 財務評価,
   リスク評価, 総合評価, 推奨アクション)
- ma_screening_ranking.md(総合評価の高い順にランキング表示)

注意事項:
- この分析は公開情報に基づく初期スクリーニングであり、
  投資判断に使用するものではない旨を各ファイルの冒頭に記載
- 財務データが非公開の企業は「非公開」と明記し、推測値を記載しない
- 評価の根拠を必ず記載する

ポイント

M&Aの初期スクリーニングでClaude Codeが威力を発揮するのは、10社分の資料を一括で読み込み、同じ評価基準で横並びの比較を行える点です。手作業では1社ずつ異なる観点で評価しがちですが、Claude Codeなら全社に対して統一的な評価基準を適用できます。ただし、デューデリジェンスの段階では専門家(FA、弁護士、会計士)の関与が不可欠です。

導入効果の目安 — Before / After 一覧

業務BeforeAfter削減率
市場調査レポート要約2日1時間94%
取締役会資料構成半日30分88%
シナリオプランニング1週間2時間95%
競合モニタリング3時間/月10分/月(2回目以降)94%
M&Aスクリーニング(10社)2.5日3時間85%

機密情報の取扱い — 経営企画特有の注意事項

経営企画部門が扱う情報には、インサイダー情報に該当する可能性のあるものが含まれます。Claude Codeに渡すファイルに以下の情報を含めないでください。

入力禁止データ理由
未公開のM&A検討情報インサイダー取引規制に抵触する可能性
未発表の業績情報金融商品取引法に抵触する可能性
取締役会の未公表決議事項機密性が極めて高い
NDA下で共有された取引先情報契約違反となる
経営陣の人事に関する検討組織への影響が大きい

Claude Codeを活用する際は、**「公開情報のみを入力する」「分析の枠組み・構成の生成にのみ使用する」**というルールを部門内で明文化してください。

よくある質問

よくある質問

まとめ — 経営企画のClaude Codeは「分析と提言」の時間比率を高める

経営企画部門にとってのClaude Codeは、戦略を自動で立案するツールではありません。ターミナルから大量のファイルを一括処理し、市場調査の要約・取締役会資料の構成・シナリオの骨格・競合変化の検出・M&Aスクリーニングを自動化するツールです。情報の「収集と整理」をClaude Codeに任せ、経営企画本来の仕事である「分析と提言」に時間を集中させてください。

最初の一歩は、次の経営会議に向けて、手元のリサーチレポートをClaude Codeで論点別に整理してみることです。

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本記事の更新方針: 本記事は定期的に内容を見直しています。記事内の判断軸・運用パターンは執筆時点での koromo の実務的知見に基づくものであり、個別環境での効果を保証するものではありません。仕様の最新情報は必ず Claude Code 公式ドキュメント をご確認ください。

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